こんにちは、秋めいてきたこの頃、暑さの残る埼玉県川越市の現場に行ってきました。
川越の家の敷地は昔ながらの古い団地のなかにあります。
30坪の土地のなかに4人のご家族のためのKibacoを建てる計画です。
今日は基礎の完成検査と9/11の上棟の準備のために 竹本君・吉沼君・私(野田)
3人で作業をしました。
2人組になって墨出しの作業をしながら基礎の精度をみています。
普通の建設会社ではこの作業は大工さん任せや外注が多いと思います。
私たちは基礎屋さんが苦労して作った基礎を自分たちの手と目で確かめることにしています。
墨出しの道具です。 現代の墨出しはカラフルなプラスティックですが、墨はやっぱり墨汁!
掃除には座敷ボウキがイチバンです。
ものをつくる建築現場では基本的な道具は昔からあまり変わらないものが多くあります。
ところ変って茨城県ひたちなか市の作業場、親方の平山さんが9/11の上棟のために
お家の床下の土台材(八溝の桧です)を加工しています。
手加工と機械加工を組み合わせています。
大きな庇のさっぱりとした作業場で正確な仕事が行われます。
再び川越にもどり、江戸の風情を残す蔵の町のレポートです。
作業が終わったあとみんなで見学に行ってみました。
建築現場から15分ほどのところに、古い蔵の町通りがあります。
写真は通りにある昔のままの蔵を資料館にしている建物です。
通りは巾の広い敷石の歩道が整備され、ゆっくりと昔の町並みを見ることができます。
シンプルで力強い形の軒が続いています。
昔の建物は多くがそうなのですが、地面から軒までの高さが今の家よりもずっと低くできています。
それが独特の親しみやすさをつくっています。
休日は大変な混雑だそうです。
資料館に入ると、ほんとに急な階段があります。
この階段は踏み板の下が引出しなど全部が収納になっていて無駄がありません。
使い込まれた感じがいいです。
階段をあがると素晴らしい部屋があり、窓越しに見る柳が暑さを和らげてくれます。
低い窓の高さや手の届く屋根が親密な空間をつくっています。
使い込まれた風合いの木材が大事にされてきた家であることを証明しています。
私たちが4月にお引渡ししたお家の2階の窓辺です。
低い高さの窓や室内から外へ続く手の届く軒庇などを今の技術と感性で表してみました。
手入れがしやすく機密性の高い窓を使うので少し重たい感じですが、昔の良いところを活かせればと思っています。
軒が低いので雨の日でも窓を開けておけます。
昔の人は雨の日も風景を楽しんでいたのだと思います。
資料館の奥にはまた素晴らしい、深い庇のある屋外空間があります。
晴れの暑い日も雨の日も、庭を楽しんだり、作業をしたりと使っていたのでしょう。
昔の人は家のなかだけでなく、外の空気を積極的に取り入れて、
生活をより便利に、楽しくしていたのだと思います。
私たちも家の中と外をどのように繋ぐかを考えて設計をしています。
深い庇、外から中へ続く土間、縁側のように使える掃出しの建具、便利な外流しなどなど・・・・
今の多くの家づくりが忘れているのは、
昔の人が持っていた 「より良い生活への素直な気持ち」 なのではと思います。
長いレポートに最後までお付き合いいただきありがとうございます。
野田 直彦でした。